Facebookはもはや「プラットフォーム」ではないし、中立でもない

2017年03月12日 14:03

フェイスブックは、従来のメディア企業として分類されるのを頑なに拒んでいる。米国の成人の半数近くがFacebookでニュースを見ているにもかかわらず、CEOのマーク・ザッカーバーグは、Facebookを「テクノロジープラットフォーム」と呼ぶことにこだわっているのだ。だが、こうした古い議論はもはや必要ない。とくに、フェイスブックが独自の動画コンテンツの制作を始めたいまとなっては。


【あなたはFacebookの顧客ではない。製品なのだ】


『DIGIDAY』US版によると、フェイスブックはモバイルアプリ用に「スポットライト・モジュール」と呼ばれるタブを開発しているという。Facebook用に制作された番組や長時間の動画コンテンツをハイライトするものだ。


またユーザーは、Facebookのモバイルアプリのほかに、Apple TVやSamsung Smart TVのアプリでFacebookのオリジナル動画を視聴できるようになる。記事によれば、フェイスブックは24時間限定で配信される6本の動画シリーズを日々更新していく予定だという。フェイスブックが出資している番組や、フェイスブックのメディアパートナーがつくる動画などが含まれることになる。


▼オンライン最大のデスティネーション


フェイスブックがもたらす膨大な利益を考えると、これはどれも理にかなっている。Facebookのニュースフィードは、すでに動画が投稿できるようになっているが、大部分は数分以内の短いクリップだ。ユーザーを釘付けにさせるには不十分である。ライヴ映像ではより長時間のストリーミングができるが、収益化は難しい。現在フェイスブックは、収益を生むために、動画の合間に広告を入れているだけである。


新しいプランでは「エピソード・コンテンツ」が求められることになる、と『DIGIDAY』は報じている。それはひとつ当たり3~30分のコンテンツであり、「ミッドロール広告」(動画の途中で再生される広告)の導入が可能になる。視聴者は長時間の動画に釘付けになるとフェイスブックは確信しており、それによって多くの収益を上げることができる。またフェイスブックは、ミッドロール広告の収益をパブリッシャーとシェアするという。その割合は売り上げの55パーセント。YouTubeが映像クリエイターに支払う割合と同じだ。


こうした取り組みにより、フェイスブックは「インターネット上の動画を支配する」という目標に向けて新たな1歩を踏み出すことになる。『DIGIDAY』の記事によれば、フェイスブックは従来よりハイクオリティなデジタルコンテンツを、テレビよりも安く制作しようとしているという。彼らはYouTubeのような存在、ヴィデオが行き着く「オンライン最大のデスティネーション」になろうとしているのだ。

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